安元昇

丁寧な栽培と味覚力を生かし美味しい野菜づくりを
—久留米市田主丸町 平田三幹夫


 一流の料理人は卓越した調理技術と鋭い味覚を持ち合わせていますが、優れた農家もまた、高い栽培技術に加え味覚力を備えているようです。

「好みもありますが、甘いばっかりのトマトは美味しくありません。トマトの持つコクと酸味、甘さのバランスが取れてはじめて美味しいトマトになります。最近のトマトは品種改良が進み、トマト特有の青々とした風味が少なくなりましたね。昔は、苗の状態からでさえも青々とした良い香りがしたものです」

トマトの苗
「昔のトマトは苗の状態からでもトマト特有の良い香りがしたものです」(平田さん)

 味のバランス、鮮度を感じる豊かな香り、食べ応えのある食感――。平田さんの話からは、農法や栽培技術に加えて、育てる野菜の味を見極められる繊細な味覚をも野菜づくりに生かしているのが伺えます。

 現在、微生物を活かした有機肥料でトマト、ホウレンソウなどを育てている平田さん。畑を訪ねたのはホウレンソウの旬が過ぎ、収穫も終わりを迎える3月でしたが、畑で収穫されたばかりのホウレンソウは生食してもエグ味がありません。ピークを過ぎてもわずかに甘味が残り、念入りな栽培を行っているのが分かります。

生食しても美味しいホウレンソウ
エグ味がなく甘みがあり、生食しても美味しい平田さんのホウレンソウ

「我が家でのお薦めの食べ方は、ホウレンソウを手でちぎり、ポン酢をかけたサラダです。また、ホウレンソウと豆腐のみでつくる白和えもシンプルで美味しいですよ」

 教えていただいた料理法は、どれもホウレンソウが主役で、素材の味を生かしたシンプルなもの。編集部員も教えていただいたメニューを実際につくってみました。

 ホウレンソウのポン酢サラダは、甘味がある柔らかな葉にポン酢の酸味が良く合い、ホウレンソウをもりもりと食べられる一品。好みでオリーブオイルを回しかけても美味しくいただけました。また、サッと茹でたホウレンソウでつくる白和えは箸が進み、そのあっさりした味は、パンなどに挟んで“白和えサンド”にしてもいけそうです。どちらのメニューも、たっぷりとホウレンソウが食べられるお薦めの食べ方でした。

ポン酢のサラダ
ホウレンソウをもりもり食べられるポン酢のサラダ

 このように美味しく健康的で、かつ使い勝手の良い野菜を育てている平田さんですが、それを可能にしているのは、やはり微生物栽培にあるようだと言います。

「3、4年前から微生物を活かした栽培に取り組んでいますが、ホウレンソウなどは根の走りが違います。ベト病などの病気も出なくなりましたね。また、トマトは日が経っても色つやが失われず、鮮度を見る目安であるヘタの部分を観察しても、枯れにくくなったと感じています」

 良質の農産品を育てる農家が実践している栽培法で共通するのは、やはり微生物のチカラを活かしているところでしょうか。農家によって使用する菌にこそ違いはあるものの、慣行農法で育った農産品と食味や鮮度維持などを比較したとき、明らかな差を感じます。

ホウレンソウの生育状態を確認する平田さん
ホウレンソウの生育状態を確認する平田さん

 現在、種苗会社や納入先のスーパーなど各方面からのアドバイスを柔軟に取り入れながら農業に取り組む平田さん。意外にも農業のキャリアは5年と短めで、以前は木工関係機器を扱う仕事に36年間従事してきました。前職では刃物の研磨などを担当し、本場ドイツで働いた経験も。研究のために学術書を読み漁るなど「お客の要望には常に技術で応えてきた」と言い、その仕事に対する姿勢は就農してからも変わりません。

「一般的に、美味しいと安全は必ずしもイコールではないのですが、やはり美味しくて安全なもの、そして、多くの方々の健康に寄与する抗酸化力の高い野菜を今後も育てていきたいと思います」

ポン酢のサラダ
定植を待つナスの苗

 こだわりの農法、そして味覚力をも生かし、安心・安全はもちろん、健康に寄与する野菜を育て、お客の要望に応えている平田さん。職人肌とも言える念入りな仕事から生まれる健康的な野菜を、皆さんもぜひ味わってみてください。


農園情報

出荷依頼 : 双方、相談の上

主要品目 : ホウレンソウ、トマト

出荷期間 : 双方、相談の上

味の特徴 : トマトは味のバランスが良いうえに商品の色艶が良く、日持ちもする。ホウレンソウはエグ味がなく、甘味がある。葉も柔らかいので、サラダにしても美味しい

お薦めの食べ方 : 味のバランスが良いトマトは、ぜひ生食で。ホウレンソウはサラダ、白和えなどがお薦め。何にでも使えて便利です

セールスポイント : 微生物農法で甘味のある野菜を育てており、常にお客の目線に立って味が良く健康的な野菜を育てています

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