白水農園

育てる農産品は、すべて一級品 現役87歳のトップランナー
—白水農園 白水勝巳


 ベテランの青果業従事者なら、一度は「白水農園」の名を耳にした方がいるのではないでしょうか。

 白水農園(久留米市田主丸町)の名が知られるようになったのは、昭和58年のこと。福岡に拠点を置く百貨店が打った新聞の大判広告がきっかけでした。

「ホウレン草を生で食べてみませんか。」

 広告に踊るこのキャッチコピーは、当時、大きな反響を呼びました。というのも、当時は生食できるサラダホウレンソウはまだなく、アクの原因となるシュウ酸が非常に多く含まれるホウレンソウは、「アク抜きなしには食べられない野菜」だったのです。

白水農園の広告記事
当時話題を呼んだ百貨店の新聞広告

 そんな中で、白水農園の農園主・白水勝巳さんは、微生物を活かした農法と卓越した栽培技術によって、渋味がなく甘味の強い生食可能なホウレンソウ栽培を成功させます。しかし、待っていたのは世間からの厳しい反応でした。

「“生で食べられるホウレンソウなんてあるわけがない”“人体に有害ではないのか”との問い合わせが殺到しました。当初は誰も信じませんでした」

白水農園が育て上げた微生物の液肥
地面に埋設された微生物の液肥が入ったタンク。これが白水農園の心臓部です

 革新的ともいえる栽培法を確立したにも関わらず、世間の批判は強まる一方でした。反対論者の中に著名な料理研究家も加わるなど議論はさらに過熱し、当時はまさに「戦い」の様相を呈していたといいます。しかし、白水さんは自身で育てたホウレンソウを「まずは食べて批判してくれ」と粘り強く説得し、議論は収束に向かいます。白水さんの栽培法が、ひとつの常識を打ち破った瞬間でした。そして、そこから数々の逸話が生まれていきます。

若き日の白水勝巳さん
農業試験場で四葉(すうよう)キュウリの品種改良に取り組む若き日の白水さん
昭和29年の四葉胡瓜の栽培風景
昭和29年のキュウリの栽培風景。枝を落とした竹を支柱にし、蔓を這わせ栽培しています

 あるとき、「野菜を束ねるテープの色が店のイメージにそぐわない」との理由で、納品済みだった野菜の引き取りを言い渡されるも、ほどなくして「あのテープのついた美味しい野菜はいつ入荷するのか」との問い合わせが殺到。すぐさま再配達を行ったとの話を皮切りに、“品切れ”によるファンからのクレームや、目利きである大阪の商人から「これだけのカブは、大阪中を探しても見つからない」との賛辞が上がったエピソードなど、話は尽きません。

 人気商品である大根は、「火の通りが早いうえに煮崩れもせず、非常に使い勝手が良い」と、主婦や料理人から評判で、食味、身の詰まり方、キメ細やかな肉質、煮えの早さが特徴です。これれらはひとえに栽培法によるもので、各細胞が均等に成長しているためだと言います。

「ちょっと大根を輪切りにしてみましょうか。ほら、一つひとつの細胞がバランスよく成長しているから、向こう側から光が透けて見えるでしょう。普通の大根ではこうはいきません。ちょっと生でかじってみて下さい。甘いですよ」

 息子の速郎さんが切ってくださった大根は、厚いところで約1センチ。にも関わらず、輪切りした大根の裏側から光が透過しています。そして、大根をかじってみると、その甘味の強さに驚きます。また、最も辛いといわれる先端部分を食べても、甘味がのっています。

透き通った大根
輪切りにした大根は厚いところで約1センチ。にもかかわらず、大根の裏側からは光が透過します

 実際に頂いた大根を炊いてみると、薄味でも短時間で味がよく染みており、煮崩れが一切ありません。しかし、箸を入れるとスッと切れる肉質の柔らかさを実感します。

 食味の良さによる調理法の幅広さに加え、ガスや電気代、調味料の節約、調理時間の短縮にもつながる白水農園の大根は、主婦や料理人からの要望に応える、まさに一級品です。

出荷前の大根
出荷を待つ白水農園の大根。甘みが強く火の通りが早い大根は、主婦をはじめ料理人にも人気です

 現在、白水さんは、自身で確立した農法を次世代に伝えていくため、“健康寿命を延ばしていく農産品を広める”との理念に賛同する農家に対し、抗酸化力の高い栽培法の指導に力を入れる農業コンサルタントを通じて、自身の農法を伝えています。

 そんな白水さんに、いつまでも健康でエネルギッシュに働き続けられる秘訣について聞きました。

「野菜中心の食生活に、少しの魚だね。肉はほとんど食べず、外食時も野菜中心です。最近は野菜をほとんど食べない人もいるね。私の友だちは農家が多かったけど、儲かった途端、肉食中心の食生活になりました。お前たち、そんな食生活を続けていたら早死にするぞと忠告していましたが、不摂生がたたって、みんな先に死んでいきました。ある接待で同席していたデパートの社長さんから、そんな質素なものばかりでなく良いものを食べたらいいのにと言われたことがあります。だけどね、健康には野菜が一番なんですよ。そしてね、やっぱり農家たるもの、野菜を摂らないといけません」

出荷前の大根
梅干し作りに使用する赤シソの移植作業を行う白水さん

 就農して六十数年。仮説と検証を繰り返し、結果と経験を積み上げてきた白水さんは、発する言葉一つひとつに重みを感じます。

 87歳にしてなお現役で、トップランナーであり続けるその姿は、常に多くの農家の模範であり、高い目標であり続けています。


農園情報

出荷依頼 : 現在、品種選定のため見合わせ中

主要品目 : 大根

出荷期間 : 現在、品種選定のため見合わせ中

味の特徴 : 甘味が強く、舌触り、喉越しもよい完璧な味

お薦めの食べ方 : どんな食べ方でも美味しい。大根おろしや、「鬼おろし」を使用した大根おろしは特におすすめ

セールスポイント : 独自の微生物農法で徹底的に土づくりにこだわっている。育てる野菜はすべて一級品で、プロの料理人からの信頼が厚い。大根は甘味が強く煮崩れしない。火の通りも早く味が染みやすいので、ガス・電気・調理時間・調味料の節約になる

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